第5回 アジアの納豆ジャングル
――こうして高野さんの話を聞いていると、実地見聞に基づいて、知識を整理することが最大の関心事のように思えますが。
たしかに、僕は整理欲が人一倍強いのでしょうね。調査や取材の過程に出てくるわからない謎は、何とかして解きたいと思う。自分のなかで、謎がクリアになればそれで満足。
――ピース数の膨大なジグソーパズルを想像してしまいます。しかも、そのピースのいくつかは、自分で削り出すというような。
ジグソーの最後のピースがはまったときは、快感です。
――ソマリランドでは、それがはまった。
珍しく、はまったケースです。
――では、行きつけの国になったソマリランドは、高野さんにとって居心地のよい場所でもあるのですね。
いえ、ソマリ人はぜんぜん僕の性に合いません。たいていの日本人がだめだと思います。僕が性に合うのは、ミャンマーのシャンの人たち。若い頃からつきあっているし、気質や生活習慣も日本人によく似ています。しかし、物書きの立場で、それが対象としてよいのかというと、そうとも言えないのです。