第4回 日本のなかの辺境

――余談になりますが、高野さんはコーヒーショップのドトールで原稿の執筆をしているとか。

 この5年くらい、そうしていますね。自宅に書斎を持っていたのですが、家では仕事にならないんです。すぐに寝ちゃうし、原稿に詰まるとネットに手を出しちゃうし。

 それでドトールで仕事をしてみようかなと試してみたら、これがなかなかいい。今では店長夫妻と仲良くなって、一緒に釣りに行ったり、飲みに行ったり。常連客仲間もいて、先日は店を貸し切りにして、受賞の祝賀会を開いてもらいました。

――そういうコミュニティーができる何かを、高野さんは持っているのかな。

 どうなんでしょうね。その店の店長は、「うちは柴又の『とらや』のような店だ」と言っています。僕の姿がしばらく見えないと「高野さん、今ごろどこにいるのかな」と皆で噂し合う。そこへ僕がひょっこり帰ってくる。「高野さんは、この店の寅さんだ」と。

――それはおもしろい。では、最後に今、新しく取りかかっているテーマについてお話しいただきましょう。

(つづく)

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高野秀行(たかの ひでゆき)

1966年、東京都生まれ。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)でデビュー。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、誰も知らないものを探す。それをおもしろおかしく書く」をモットーとし、アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表。主な著書に『アヘン王国潜入記』『巨流アマゾンを遡れ』『ミャンマーの柳生一族』(以上、集英社文庫)、『西南シルクロードは密林に消える』『怪獣記』(講談社文庫)、『イスラム飲酒紀行』(扶桑社)、『未来国家ブータン』(集英社)など。『ワセダ三畳青春記』(集英社文庫)で第一回酒飲み書店員大賞を受賞。『謎の独立国家ソマリランド』(本の雑誌社)で第35回講談社ノンフィクション賞を受賞。


高橋盛男(たかはし もりお)

1957年、新潟県生まれ。フリーランスライター。自動車専門誌の編集を手がけたのちフリーライターに。JR東日本新幹線車内誌「トランヴェール」、プレジデント社「プレジデント」「プレジデントファミリー」などに執筆。