第4回 日本のなかの辺境

――大学4年から住み続け、卒業後も33歳まで暮らした木造のボロアパートの様子が『ワセダ三畳青春記』(集英社文庫)に綴られています。しかし、このアパート、奇人変人のオンパレードですね。

 結局、11年間このアパートに住んだのですが、前半はすごく楽しかった。後半はすごくつらかったですね、精神的に。

 大学も7年通ってしまい、20代も後半になると、社会に出た同級生は皆、第一線でバリバリ活躍しているわけですよ。僕はといえば、学生時代の延長のような生活を続けていて、年だけとっていく。こんなことをしていていいのかと思いながら、どうすればいいのかわかりませんでした。

――当時、就職するつもりはなかったのですか。

 就職して会社員になることなど、まったく考えていませんでした。就職活動もしていなかったし、する気もなかったですね。

――この本を書いたことが、ひとつの転機になったというのは?

 アパート時代の話は、宴会などでバカうけするので重宝していたのですが、本に書くつもりはなかったんです。今から10年前、編集者に強硬に勧められて書いたのですが、意外とこれが好評だったんです。お、これは辺境でなくても話が書けるなと。

――いえいえ、立派な辺境ですよ、このアパート。

 あはは、確かに辺境といえば辺境ですね。

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