第65回 幻の鳥でハッピーなクリスマスを!
メリークリスマス! みなさん、いかがおすごしでしょうか。
先日のこと。クリスマス・イブの「昆虫中心生活」公開に向け、Webナショジオの編集長から「クリスマスらしい写真はないでしょうか?」とメールが届いた。
コスタリカのクリスマスといってもそれほど特別な装飾をするでもなく、それっぽい色の動物はいないか考えてみたところ、輝く緑と赤の羽が印象的な鳥がいることを思い出した。
「ケツァールはどうでしょう?」
「ケツァール! あの幻の鳥ですか! ぜひ!」
と即、興奮気味の返事が。
幻の鳥というほどでもないとぼくは思うのだが、世界的にとても人気のある鳥だ。ケツァールをはじめとする野鳥観察を目的にコスタリカを訪れる人も多い。確かに美しい鳥で、古代アステカの王が権威の象徴としてこの鳥の羽を身に着けたことでも知られる。アステカのナワトル語が起源で「輝いた大きな尾羽」という意味だそうだ。
ケツァールが見つかるのは、熱帯雲霧林。コスタリカ中部にあるコナラの大木に覆われた高山セロ・デ・ラ・ムエルテを訪れた。湿度が高く、朝晩は気温が10℃以下になる。そんな冷え込む中、夜明け前から森に入り待機する。ねらうは鳥たちが活動を始める朝方だ。
辺りがもや~っと明るくなり始めると行動を開始、グシュグシュにぬかるんだ林道を行くと、高い木の上にメスのケツァールがいた。灰色の「はと胸」が、なんとなく鳩を思わせる。
近くの木で、鮮やかな飾り羽をもつオスのケツァールも見つかった。
意外といる、というのがぼくの感想。遠いから、撮影は大変だけれど。
A male Resplendent Quetzal, Pharomachrus mocinno
絹のような光沢の少し青みを帯びた緑の羽、オスは黄色いくちばし、赤い胸と長い飾り羽が特徴。
体長:36 cm 撮影地:セロ・デ・ラ・ムエルテ、コスタリカ(写真クリックで拡大)