第2回 辺境の日常を伝える意味

 ただ、日常を伝えるのは難しい。日常というのは、事件事故がなく、何が起きるということもないふつうの生活ですから、物語になりにくいんです。難しいことを仕事に選んでしまったなと思ってはいます。

――ところで、高野さんはソマリランドで、地元ケーブルテレビ局の日本支局長に任命されましたね。日本の日常をソマリア全土に伝える番組制作をしているのですか。

 画策していますが、言葉の問題が大きいのと、こちらにソマリ人スタッフがいないことがネックで、進んでいません。
日本人と生活感覚がかなり違うので、ソマリ人がスタッフにいないと、何が現地の人の関心を引くのかがわからないですから。何とか番組をつくろうとは思っています。

――著書の最後に、ソマリランドとプントランドの国境地帯をラクダで縦走する計画に触れていましたが、それはどうですか。

 来シーズンにトライしようと思っています。1月か2月に、またソマリランドに行く予定なので、そのときにどんなかたちならできるのか探ってくるつもりです。

――次は、高野さんの出世作につながった早稲田大学探検部時代のコンゴ探検についてうかがいましょう。

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(つづく)

高野秀行(たかの ひでゆき)

1966年、東京都生まれ。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)でデビュー。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、誰も知らないものを探す。それをおもしろおかしく書く」をモットーとし、アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表。主な著書に『アヘン王国潜入記』『巨流アマゾンを遡れ』『ミャンマーの柳生一族』(以上、集英社文庫)、『西南シルクロードは密林に消える』『怪獣記』(講談社文庫)、『イスラム飲酒紀行』(扶桑社)、『未来国家ブータン』(集英社)など。『ワセダ三畳青春記』(集英社文庫)で第一回酒飲み書店員大賞を受賞。『謎の独立国家ソマリランド』(本の雑誌社)で第35回講談社ノンフィクション賞を受賞。


高橋盛男(たかはし もりお)

1957年、新潟県生まれ。フリーランスライター。自動車専門誌の編集を手がけたのちフリーライターに。JR東日本新幹線車内誌「トランヴェール」、プレジデント社「プレジデント」「プレジデントファミリー」などに執筆。