第1回 超速とカート宴会の国

――それが、ソマリランドへ行くことにした動機ですね。

 そうです。ネットで調べると、ソマリランドの情報はかなり出てくるんですよ。でも、情報発信者がそれぞれ自分のいいように書き込んでいるから、それらを読めば読むほどソマリランドのことがわからなくなる。

 これは行ってみるしかないだろうと。逆に、行けばかなり高い精度で、その国の実情がわかるだろうと思いました。

――ソマリランドの記述で、まず印象的なのがソマリ人の「超速」ぶりです。そんなにせわしない人たちなのですか。

 せわしないですね。とにかく、じっとして人の話を聞くということがないんです。

 こちらが話し出すと、10秒で遮られる。「お前は何がしてほしい」と聞くから「それを今、話している」と言って説明しかけると、また「お前は何がしてほしい」と遮る。「だから、それを今説明しているんじゃないか」という具合で、その繰り返し。

 単語を何度も投げかけ合って相手の言うことを理解していくのが、ソマリ人の会話パターンなんですね。彼らには、筋道立った「説明」はいらない。相手の「要求」だけがわかればいい。それは遊牧民気質から来るものだと思います。隣の国、ケニアの人たちは、これも驚くほど我慢強く相手の話を聞くのですが、それとは真逆です。