第69話 暗闇の中の再会

 私は、再び「もしや!」と思い、トーニャの後ろを追うよりも、窓からドッグヤードを見たほうが早いと思って、窓のほうに走った。

 でも、窓からでは、やはり角度が制限されて、端から端まで見えない。

 とっさに、「こりゃダメだ」と、玄関先に走って、ドカ靴を履いて外に出ると、けたたましい犬の鳴き声が響き渡っていた。

「これは、間違いない!」

 気が焦る私は、ドカ靴に半分だけ足を突っ込んだような状態で、ドカドカと大股で走り、ドッグヤードまで行くと、トーニャが戻ってきた。

 腕のなかには、猫のスノーラを抱えている。

「この子ったらね、天気がいいから、珍しく外に出たのよ。犬たちにちょっかいを出すのが好きな猫でね。でも、犬たちに吠えられて、戻れなくなっちゃったみたい……」

 と、ガハハとトーニャは笑った。

「なんと、お騒がせな……」

 私は、スノーラの頭をくしゃくしゃに撫でてやると、
「ヤメロ!」とばかりに、「んぎゃー」と引っ掻かれた。

 スノーラを私に手渡すと、トーニャは、
「今日は犬橇お休みにしよう」と言った。

 やはり、なんとなく気が向かないのだ。

 信じるということは、辛いもので、時間が長く感じられる。

 そう考えると、親友の帰りを信じて待っていた「走れメロス」の友人は、さぞ辛かったに違いない。

 心の中で、もしかすると帰って来ないのかも? と疑ってしまう瞬間もあるだろう?

 犬が迷子になった場合、どんなに時間がかかっても、帰巣本能で家に帰ってくるというし、私たちはただただ、無言で待っていた。

 その夜は、星空が奇麗にきらめいていた。

 こんな日は、ぐんと気温が下がる。

 ストーブに薪をいつも以上に入れると、私は眠りについた。