第69話 暗闇の中の再会

 その後無言でロッジに戻ると、私たちは、お湯を沸かしてホットチョコレートを作り、ビスケットを食べて、遅い朝食を済ませた。

 しばらく、お互い何もしゃべらないまま、時間を過ごしていると、トーニャは、思い立ったように、午後に犬橇を出して、西の森にでも行こうと言い出した。

 犬橇のシーズンは短いために、私たちは1日たりとも休まずに犬橇を出して、犬たちのトレーニングをしていた。

 マッシャー初心者の私も、毎日のように、短い距離を犬たちと走っている。

 ソルティーが戻って来ないからといって、家で胸の中をもやもやさせていても仕方がない。

 西の森は、ソルティーを残してきた森とは反対側だけれど、獣道のような細い道がくねくねと曲がる複雑なルートであるため、そういった場所での走り方を教えたいと、トーニャは言った。

「どうして、ソルティーのいる森に行かないの?」

 私はトーニャの気持ちを十分に知っていたのだけれど、やはり気持ちのどこかで、ソルティーを迎えに行きたいと思っていた。

「ソルティーは、戻ってくるわ!」

 ときどきとても頑固なトーニャは、石の壁並みである。

 もともと姓名が、ドイツ系であるし、その血も入っているようで、彼女自身も、

「私は頑固なドイツ人の血筋なのよ」と冗談を言い、

「頑固な血じゃあ、しょうがないね」

 と、他愛も無い会話をしていると、いきなり、トーニャは耳を澄まし、何かを感じたように、ダダッと走って玄関を飛び出していった。

「え? なになに?」