200人近くの人間がひとつ船の中で暮らすのは、なかなか大変なこと。特に掘削が停滞しているときなどは陰鬱なムードも漂ったりして・・・。そこで最終回は「ちきゅう」船上生活と、それを支える愛すべき研究支援統括、江口ノブさんの物語です。男はつらいよ!(写真=田中良知)
ちきゅうの研究航海に乗船する研究者は、30人ほど。
IODPに応募し、選ばれた人たちだ。
IODPとは、国際深海科学掘削計画。これは、日本と米国が主導する、地球環境変動や地球内部構造、それから地殻内生物圏の解明を目的とした、国際的な海洋科学掘削計画だ。
今では20数カ国がこの計画に参加している。参加している国の研究者は、その都度、「その海域でサンプルを採取するなら、こんな研究がしたいです。乗りたいです」と手を挙げ、各国での選抜にパスすると、ちきゅうのほか、米国の掘削調査船『ジョイデス・レゾリューション』などに乗り込んで、科学研究航海に参加することになる。
僕の仕事は幼稚園の先生みたいなもの
だから、ちきゅうでの航海でも、乗船する研究者のナショナリティはさまざまだ。それから、年齢構成もジェンダーもバラバラ。研究内容も含め、多様性を重視して選考するのだという。
世界一の探査船に乗る、世界中から選ばれた研究者たち。そう聞くと、立派な人たちばかりだろうなあと思うのだが、研究支援統括として研究者と掘削技術者の橋渡しをしている江口暢久さんは「僕の仕事は幼稚園の先生みたいなものですよ」という。