File8 巨大探査船「ちきゅう」を動かす3人の男
第4回 男たちは何故、ちきゅうに乗るのか
研究者は、研究材料があるときは研究に没頭している。
ところが、研究材料がないとき、たとえば、サンプルがなかなか採取できないときなどは、やることがなくなってしまう。すると、人間関係のトラブルを起こすことも、少なくないのだとか。
そうなんですよねえ、どこの組織も、暇になるとそういうトラブルがねえ。
しみじみ頷く取材陣。急に研究者たちが身近な存在に感じられる。
「だからそこを調整するのも仕事のうち。暇になりすぎないように、イベントも企画しますよ」
船上卓球トーナメントは恒例行事。卓球台があるのです。
卓球選手偽装事件
あるとき、こんなことがあった。
ご存じの通り、中国は卓球王国。乗船していた中国人の若手研究者も、腕に自信があったのかもしれなかった。しかし、彼はなんと一回戦で日本人研究者の前にあえなく敗退。明らかに落ち込んだ。
出番がまだだった江口さんは、その若者に、自分のフリをして再挑戦することを提案。彼もそれを受け入れて、周りにからかわれながらも「私はエグチです」と江口さんの写真を張り付けたお面をつけて戦い続け、ついでにトーナメントも勝ち抜いたのだった。
幼稚園の先生と言うよりは、お母さんのようだ。
なぜ、そんな大変なお仕事を引き受けているのでしょう。
「それは結局、人が好きだからです。周りにはこの仕事を大変そうに話すこともありますけど、あんまり苦にならない」
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