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ピュリツァー賞を受賞したジャーナリストが、人類の拡散ルートをたどる徒歩の旅に出た。アフリカから南米最南端まで、全長3万3000キロの道のりだ。

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全長3万3000キロ 人類の旅路を歩く

ピュリツァー賞を受賞したジャーナリストが、人類の拡散ルートをたどる徒歩の旅に出た。アフリカから南米最南端まで、全長3万3000キロの道のりだ。

文=ポール・サロペック/写真=ジョン・スタンマイヤー

 私は旅に出た。
 人類の拡散ルートをたどって、アフリカ大陸から南米大陸の最南端まで、全長3万3000キロを7年かけて踏破する旅の始まりだ。

 今から6万年前、あるいはもっと前に、人類誕生の地である東アフリカの大地溝帯を出て、初めて未知の世界に出合った人類の祖先たち。その数はせいぜい数百人だったとみられるが、彼らの遺産は計り知れないほど大きい。

 人間に特有と考えられている複雑な言語や抽象的な思考、芸術を生む衝動や技術革新を実現する創造性は、すべて彼ら人類の祖先から受け継いだものであり、世界中の多様な民族はすべて彼らの子孫である。
 にもかかわらず、彼らのことはほとんど知られていない。彼らがアフリカ大陸とアラビア半島を隔てるバブ・エル・マンデブ(嘆きの門)海峡を渡ってからわずか2500世代の間に、人類は地球上の最果ての地まで進出した。

 何万年も出遅れたが、私はこれから一歩一歩大地を踏みしめ、彼らの後を追う。

 考古学調査と、世界中の人々のDNAから推定された人類の拡散ルートを参考に、アフリカを北上し、中東へ向かう予定だ。そこからアジア大陸を横断し、中国を経てシベリアへ。その後、船でアラスカに渡り、米大陸の西海岸に沿って南下し、人類が最後に到達した南米大陸の最南端ティエラ・デル・フエゴを目指す。全長3万3000キロの道のりを踏破する旅だ。

「アウト・オブ・エデン・ウォーク」と名づけたこのプロジェクトの目的はいくつもある。時速5キロという歩行速度で世界の地理を改めて体感すること、ペースを落とし、じっくり考え、書くこと。誰もがそうするように、行く手に何が待ち受けているかを確かめるために歩く。そして、祖先の旅を振り返り、記憶にとどめるために歩く。

 エチオピアの砂漠にかすかに続く道は、人類が残した最も古い痕跡かもしれない。今でも人々はこの道を歩いている。飢えた人、貧しい人、干ばつや戦火を逃れてさまよう男女。

 地球上では今、1日に10億人近い人々が移動している。人類がこれまで経験したことのない大移動の時代だ。ジブチの首都ジブチ市では、携帯電話を手にした出稼ぎ労働者たちが、ごみの散らばる夜の海岸に集まってくる。隣国ソマリアの基地局を経由して安く通話するためだ。会話からはオスロ、メルボルン、ミネソタといった地名が聞こえる。最初の冒険から6万年経った今でも、人々は外へ出た先達の導きや救いの手を求めているのだ。

※ナショナル ジオグラフィック12月号から一部抜粋したものです。

編集者から

 人類が世界の各地へ拡散したルートをたどる旅と言えば、日本では、「Webナショジオ」でも連載していただいた関野吉晴さんの「グレートジャーニー」がよく知られています。南米からアフリカまで、人類の拡散ルートをさかのぼる旅ですね。
 今回、特集の筆者ポール・サロペックが挑んでいるのは、それとは逆で、アフリカから南米最南端をめざす徒歩の旅です。旅の始まりは「珍道中」の様相を呈していますが、実際、アフリカの酷暑の砂漠を歩いて横断するのはかなり大変だったようです。過酷な体験をしながらも、東アフリカの現実を鮮やかに描き出すその筆致は、さすがピュリツァー賞受賞者。7年がかりのこのプロジェクトでサロペックがどんなレポートを届けてくれるのか、今後も楽しみにしていてください!(編集T.F)

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