アクラガ・コア(鱗翅目:ダルセライラガ科)
An adult dalcerid moth, Acraga coa
前回紹介した透明の宝石イモムシと同じ科に属する、アクラガ・コアという蛾の成虫。ピョン!と飛び出た触角と、フサフサで長い前脚を伸ばして止まるのが特徴。
前翅長:約15 mm 撮影地:サラピキ、コスタリカ(写真クリックで拡大)

「オオーマイゴッド!!」

 朝の10時半。部屋で虫たちの世話をしていたとき、突然、隣のラボから大きな叫び声が聞こえてきた。他の学生たちも「オーマイゴッド」を連呼している。

 何ごとだろうと隣のラボへ行くと、みんなが見つめる視線の先に、何やら長ーい紐のような物体が天井からぶら下がっている。

(写真クリックで拡大)

 えっ、ヘビ?
 垂れ下がっている部分は、1メートルはあるだろうか。

 毒蛇でないことは判明したものの、このままでは学生たちが落ち着いて作業できない。

 教員は網を持ってきて、「屋根裏に戻りなさい」「戻らないならこっちに出てきなさい」とヘビをつつく。ヘビはしぶしぶ中へ向かうが、しっぽが最後まで入って行かない。しばらくすると、頭が出てきた。格闘は10分ほど続いたが、決着はつかず。ヘビはその場に残り、学生たちもその場で研究を続けることになった。

 この建物の屋根はトタンで出来ていて、昼前の直射日光が当たると屋根裏は、気温が40度以上になる。おそらくこのヘビは、きっと暑くなってたまらず、隙間から身を乗り出したのだろう。

 午後に雨が降り出すと、このヘビはいつの間にやら姿を消していた。

教員もやってきて垂れ下がるヘビと格闘中(写真クリックで拡大)
専門家に尋ねてみると、ヘビはLeptodeira septentrionalisというネコメヘビの仲間だろうということになった。コスタリカではこれまで標高1200メートル未満でしか見つかっていない種だが、ここは標高1500メートル。地球温暖化の影響があるのかもしれないと、教員や専門家は話していた。(写真クリックで拡大)
西田賢司

西田賢司(にしだ けんじ)

1972年、大阪府生まれ。中学卒業後に米国へ渡り、大学で生物学を専攻する。1998年からコスタリカ大学で蝶や蛾の生態を主に研究。昆虫を見つける目のよさに定評があり、東南アジアやオーストラリア、中南米での調査も依頼される。現在は、コスタリカの大学や世界各国の研究機関から依頼を受けて、昆虫の調査やプロジェクトに携わっている。第5回「モンベル・チャレンジ・アワード」受賞。著書に『わっ! ヘンな虫 探検昆虫学者の珍虫ファイル』(徳間書店)など。
本人のホームページはhttp://www.kenjinishida.net/jp/indexjp.html

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