研究室の床には、赤いテープと黒いテープが貼られている。赤がアーカイブハーフの進路、黒がワーキングハーフの進路。

「当たり前だと思っていても、忙しくなると間違えてトラブルになりますから」

サンプルを吟味する研究者たち(提供:JAMSTEC/IODP)(写真クリックで拡大)

 ワーキングハーフは、文字通り研究作業用。開き姿のままではなくて、小分けにして分析に使われる。航海を終えた研究者がもっとつっこんだ研究を行うサンプルも、ここからとられる。この部分をこの測定に使うよとか、ここは僕が持っていくからね、という印は、爪楊枝にテープを貼ったお子様ランチの旗のようなもので付ける。

 アーカイブハーフでは、写真を撮ったり、色を測ったりと、コアサンプルを壊さないでできる測定をする。また、スケッチも欠かせない。

 写真も撮るのに、スケッチ。

「人間の目によるスケッチは、あなどれません。細かな色の変化とか、地層を構成している粒子の変化とか、あとで写真を見てもわからないものが見えるんです」

 ちなみに、船上で行われる分析の結果は、みんなの共通財産になる。乗っている研究者個人の成果に直接つながる研究は、船を下りてから、各々で取り組むことになっている。

13分の9が南海トラフ

 では、採取されたサンプルはこの後、どんな研究に使われるのか。ここで整理しておこう。

 ちきゅうは、船が完成してからこれまでに13回の研究航海を実施している(試験航海を除く)。うち紀伊半島沖、南海トラフの掘削が9回、三陸沖の東日本大震災の震源域掘削が2回、それに下北半島と沖縄で実施した生命圏掘削が1回ずつだ。
 これに、JAMSTECのプロジェクトではないが、メタンハイドレートの産出試験など、資源探査を目的とした航海も6回引き受けている。

旗を立てて「このサンプルは僕のもの」(提供:JAMSTEC/IODP)(写真クリックで拡大)

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