File8 巨大探査船「ちきゅう」を動かす3人の男

第3回 未到のマントルへ、三つの課題

ちきゅうの船橋(ブリッジ)から前方を望む(写真クリックで拡大)

 さらに、マントルのサンプル採取は、「地球のシステム」を解明するカギになる。
 実は、マントルは地球の体積の約8割を占めているにもかかわらず、わからないことだらけだ。到達し、そこから実際の岩石サンプルを採取して初めて、そこに何がどれくらいあるかが、確かめられる。

 マントルに炭素や水がどれほど含まれているのかがわかれば、それらが地球の核やマントル、地殻の間でどんな風にやりとりされているかが解明できる。さらそうした地球内部の物質循環がわかるということは、地球という星の成り立ちや生命を支えるシステムについてのより深い理解につながる。

 ならば、マントルも掘りましょう。

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「いいですね! 掘りましょう! と言いたいところですが、でも、そう簡単にはいかないんですよ」

 なぜですか?

 研究支援統括・江口暢久さんの答えは明快だった。

「問題は三つあります。水深・固さ・熱ですね」

 ひとつ目の問題は水深。マントルまで掘ろうという海域の水深はどこも4000メートル級なのに対し、現在ちきゅうが持っているライザー掘削システムは水深2500メートルまで。4000メートル級のライザーシステムは、まだ存在していない。