File8 巨大探査船「ちきゅう」を動かす3人の男

第3回 未到のマントルへ、三つの課題

沖縄トラフへ向かうちきゅう(提供:JAMSTEC/IODP)(写真クリックで拡大)

 地震が起きて、プレート境界の断層と上向きの巨大分岐断層が大きく動き、その間にある付加体がポーンと跳ね上がったことにより、津波が発生した。そんなふうに、科学者たちは考えている。
 考えている、という言い方になるのは、まだそれが仮説だから。

 2013年秋、ちきゅうは、その仮説の物証を地上に持ち帰るため、海底下5200メートルにあるとされる巨大分岐断層の、最も動いたとされる場所めがけて、掘削を再開した。実はそれまでに、2000メートルほどは掘り進めているので、作業を再開した格好だ。

 そこまで掘ることで、地震や津波を起こしたところが、どうなっているかがわかる。そして、地震発生のメカニズムについての仮定が、「やっぱりそうだったんだ」と確認できる。

生命や地球の歴史の研究も

サンプルを手に微生物学者もにんまり(提供:JAMSTEC/IODP)(写真クリックで拡大)

 地震にまつわる研究だけではない。ちきゅうが採取するサンプルは、海底下生命圏、つまり生物学の調査や、地球の歴史の研究にも使われている。

「海底下には、地球に生命が誕生したころと同じような環境が残っていると言われています。採取したサンプルから原始的な生命を見つけられれば、地球生命誕生の秘密に迫れるかもしれません。あるいは、これまでに見つかったことのない、役に立つ微生物がいるかもしれません。そんな目的で、これまでに沖縄の熱水噴出域や、下北半島の石炭層を掘削しています。それに、サンプルからは、自分たちの足元で何が起きてきたかがわかります。そもそも、一般的な海底の地層って何からできているかわかりますか?」

 地層ですか。わざわざ“海底の”って言うからには、陸上とは違うってことですか?