File8 巨大探査船「ちきゅう」を動かす3人の男

第3回 未到のマントルへ、三つの課題

掘削チームが苦労して海底から引き揚げてきた石、いわゆるコアサンプルは、どのような手順を経て、どのような研究に使われるのか。今回はそのあたりを追いかけることにいたしましょう。(写真=田中良知)


「ちきゅう」を動かす3人の男。右から船上代表の猿橋具和さんと澤田郁郎さん、そして今回の主役、研究支援統括の江口暢久さん。見晴らしのいい撮影場所は、地上ではなく船上のヘリデッキです!(写真クリックで拡大)

 作業服を脱いでからのエリアの案内役は、研究支援統括の江口暢久さん。
 ちきゅうのような探査船に乗る研究者たちと、船上代表の澤田郁郎さん・猿橋具和さん、そしてその先にいる技術者との橋渡しをするのが仕事だ。

「海外の入国審査ではスペイン語で話しかけられることが多いですね」という江口さんは、芸術家のような風貌の、京都出身の日本男児。
 さきほどまで案内をしてくれていた船上代表の澤田さんは、初めて江口さんと顔を合わせたとき、日本語は通じないだろうと、「ハロー」と話しかけたという。
 話しかけられた側の江口さんも(さすが国際的な船、公用語は英語なんだな)と思い、しばらく英語で会話をしていたそうだ。

水揚げされたサンプルの行方は

 さて、水揚げされたサンプル入りのチューブは、まず、掘削エリアからキャットウォークを経て研究区画に送られる。チューブは透明なので、その状態でだいたい、中身が把握できる。泥水ばかりのこともあれば、きっちり地層が見えていることもある。

「沖縄のときは、熱でチューブが溶けちゃって。澤田が機転を利かせて金属のチューブを使うことにしたので、最終的には、サンプルは採取できましたが」

 沖縄のときとは、2010年9月の、沖縄トラフ熱水噴出域の探査だ。
 このときは、サンプルの中に、レアメタルが多く含まれる鉱石「黒鉱」が見つかっている。

「見てすぐに、黒いなとわかりました」

サンプルを入れるチューブをもって説明してくれる江口さん。後ろにCTスキャン装置が見える(写真クリックで拡大)