第13回 スロベニアの年に一度のお楽しみ料理

 「スロベニアのワインを飲んだことありますか?」

 編集Tさんが尋ねてきた。スロベニアといえば、西はイタリア、北はオーストリアと接する四国ほどの面積の小さな国。申し訳ないが、ワインはおろか、旧ユーゴスラビアであることぐらいしか知識がない。しかし、実は優れたワインの名産地で、世界最古としてギネスブックにも認定されている、樹齢400年以上のブドウの木からつくられるワインもあるという。

 「日本に住むスロベニアの人たちがワインの出来を祝うパーティーがあるんです。行きましょうよ!」。目を輝かせるTさんの話では、11月11日の「セント・マーティン・デー」を祝うパーティーだという。キリスト教の聖人・マルティヌスの祝日(name day)であるこの日は、農作物の収穫を祝い、翌年の豊作を祈念する「収穫祭」がヨーロッパ各地で行われるのだ。

 「スロベニアではとくにこの祝日を大事にしていて、家族や仲間たちと出来たてのワインを飲み、この日のためにつくられた料理を囲んで過ごすそうなんです」。しかも、スロベニアワインは約7割が国内で消費されていて、輸出先は主にヨーロッパ。日本に入ってくるのはほんのわずかだとか。スロベニア人がこよなく愛するワインと、その出来を祝って食べる料理に込められたソウル。これはおもしろそうだとパーティーに参加させてもらうことにした。

 東京・恵比寿にあるビルの一室で、「セント・マーティン・デー」のパーティーは行われた。この日はスロベニアと国境を接するイタリアの自治州であるフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア出身の人びととの交流も兼ねた共同開催で、室内には2つの国旗(州旗)が掲げられている。