さてこれまで、ちきゅうの主なミッションのひとつはコアと呼ばれるサンプルを採取すること、と繰り返してきたが、では、ドリルで奥まで掘ったあと、どうやってそこからサンプルを持ってくるのかというと、仕組みはシンプル。

 大きなチーズの塊にチューブを挿して中身を改めるイメージ。ドリルビットの先端部にサンプル採取用の鉄管(サンプラーと言います)を付けて、海底にぐっと挿し、それから引き揚げるのだ。サンプラーの中には透明なプラスチック製のチューブが仕込んであって、そこにお目当てのサンプルが入る仕組みだ。

海底へサンプラーを「落とす」(提供:JAMSTEC/IODP)(写真クリックで拡大)

「海底までは、サンプラーはドリルパイプの中を落ちていきます。フリーフォールです」
 澤田さんが言う。
 フリーフォール大好きなK瀬にとってはなんともうらやましい。サンプラーの長さは9メートル。太さはというと、腕は入るかも知れないが、脚は無理だ。

 このサンプラーの水揚げを、漁船が帰ってくるのを待つ魚市場の人たちのように、掘削フロアの手前で待ち構えている人たちがいる。
 研究者だ。

 ここでいったん、澤田さんと猿橋さんとはお別れ。澤田さんからは「もし時間があれば、後で、ペントハウスにあるロイヤルスイートに来てください」と招待された。
 船上代表の執務室のことらしい。
 ここで作業服ともお別れ。脱ぐと、汗だくになっていた。

つづく

澤田さんたちが苦労して採ってきたサンプルを待ち構える研究者たち。次回は、このサンプルが研究にどう生かされるのか、を紹介します(提供:JAMSTEC/IODP)(写真クリックで拡大)


この記事は日経ビジネスオンラインとの共同企画です。
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片瀬京子(かたせ きょうこ)

1972年生まれ。東京都出身。98年に大学院を修了後、出版社に入社。雑誌編集部に勤務の後、09年よりフリー。共著書に『誰もやめない会社』(日経BP社)『ラジオ福島の300日』(毎日新聞社)など。

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