第12回 辛すぎるほどご飯がすすむ!ブータン料理

 雨が降る肌寒い休日、傘の中に身を縮めるようにして私は待ち合わせ場所に向かっていた。

 事の発端はとある記事。世界一辛い唐辛子としてギネスブックに認定されている「トリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラー」を上回る激辛の唐辛子が、今年アメリカで発見されたという記事を読んだことに始まる。

 「キャロライナ・リーパー」と名付けられたその唐辛子は、300万スコヴィルというスコーピオンの倍以上の数値を出したそうだ(スコヴィルは唐辛子の辛さの単位)。日本でスナック菓子に使われてブームを巻き起こしたハバネロですら約30万スコヴィルというのだから、「触っただけで悶絶しそう……」なんて苦笑いをしながら読んでいたのだが、ふとあることを思い出した。

 2011年にブータン王国の国王夫妻が来日したとき、「ブータンの料理は世界一辛い」と話題になったことだ。スコヴィル値はさておき、ブータンでは料理に唐辛子を使うのが基本で、国民はみんな唐辛子が大好きなのだとか。ということは、ブータン料理のソウルは唐辛子にあるのか。がぜん確かめたくなった私は、日本に留学中のブータンの女性と食事をする機会を得て、東京・代々木上原のブータン料理店「ガテモタブン」へと歩を進めていたのだ。

 先に到着していたレキ・チョデンさんは優しい笑顔で迎えてくれた。2011年の春に来日し、横浜の大学で移動通信技術を専門に学んでいるという。着席してさっそく、「ブータン人はみんな唐辛子が好きなんですか」と率直な質問をぶつけると、彼女はにっこり笑って答えてくれた。