第3回 被写体を熟知するということ

記念すべきスタインメッツ氏のナショジオデビュー作「THE QUEST FOR OIL」の掲載号(1989年8月号)

――スタインメッツさんが『ナショナル ジオグラフィック』のオファーを受けた最初の特集は、1989年に掲載された「石油争奪戦」ですね。これが実現した経緯は?

 同誌には、アフリカの写真を何度か売り込みに行きました。しかし、編集者にはまったく相手にしてもらえませんでした。

 何がダメなのかと尋ねると「このシーンが足りない」とか「この写真がなっていない」と言われました。しかし、編集者は「こうしなさい」といった指示は一切出しません。「私を驚かせてほしい。今まで私の見たことのない写真を見せてほしい」という言い方をします。

 「石油争奪戦」のときは、私が大学で専攻していた分野と近いテーマで、わりあい事情をよく知っていたので声をかけてもらえたのだと思います。実は石油の採掘施設はアクセスが厳しいんです。セキュリティや機密保持の問題などがあって、外部の人間はなかなか入れない。その点、私は少し有利だったのかもしれません。

 ただ、仕事はもらえたものの、内心はナーバスでした。うまくいかなかったらどうしようと。私たちの仕事は、最初が良くなければ2度目のオファーはありませんからね。

――しかし、スタインメッツさんは、その後「いつも誰かに見られている 監視社会」(2003年11月号)や「ロボット新時代」(1997年7月号)など、20本以上の特集を担当していますね。