ちきゅうは世界記録を持っている。科学掘削の世界最深記録だ。たとえば2012年7月には、水深+海底からの深さの世界記録7752.31メートルを達成しているし、海底から掘削した深さでも、2012年9月に八戸の沖合で海底下2466メートルの記録を樹立している。
ちきゅうは、水深+海底からの深さのトータルが1万メートルまで到達する能力を持っている。富士山2.5個分。バレンティン換算すると90バレンティン。60本打っても、まだまだ3分の2という深さだ。
車は清水インターに近づいていく。
「いた!」
叫ぶK瀬に、かぶせるY尾。
「どこどこどこどこ?」
法定速度は意外と速く、景色は流れて行ってしまう。
高速を降りると、日が暮れていた。
清水港の興津埠頭に向かうと、ちきゅうはいた。
白い船体に、ちょっとアンバランスに見えるほど高く組まれた青いやぐら。それが灯りに照らされて、関係者以外立ち入り禁止のフェンスの向こうにましますちきゅうは、船というより、化学プラントのようだ。
あちこちから水蒸気とおぼしきものが湧きあがり、停まってはいるけど内部は動いているんだぜという力強さを放っている。
明日、我々はこのちきゅうに乗ります。