File8 巨大探査船「ちきゅう」を動かす3人の男

第1回 「ちきゅう」は海底掘削工場だった!

船の後方に積まれたライザーパイプ(写真クリックで拡大)

 実は、パイプには3種類がある。細いドリルパイプと、太いライザーパイプ、そして、何段階かの太さのものがあるケーシングパイプだ。

 ちきゅうの積荷はほとんどがパイプだという。

ケーシングパイプ(写真クリックで拡大)

 ドリルパイプとは、ガンガン掘り進んでいくパイプ。さっきの黒いパイプがそうだ。海底のその先へ、突き進んでいく。しかし、ドリルパイプは細いので、海底に到達すべく、船から海の中へと下ろしていくと、凧の糸のようにゆらゆらしてくる。
 また、海底に到着してからその先を、ガンガン掘り進んでいくと、パイプが抜けなくなる、掘った穴が崩れるなどの問題が起こってくる。
 そこで活躍するのが、残りのふたつのパイプ。ドリルパイプをカバーするパイプだ。

 船と海底とを1本の道につなげるのをライザーパイプ、海底から先を守るのをケーシングパイプと呼ぶ。

 パイプを二重構造にすると、ドリルパイプの保護以外にもメリットが生まれる。「泥水」を循環させることで、安定した掘削ができるようになるのだ。

石油掘削に学んだ「泥水充填掘削法」

図解:ライザー掘削法(提供:JAMSTEC)(クリックで拡大)

 泥水は、でいすい、と呼ばれる複雑な処理をした粘性の高い流体だ。これを船上でつくり、ドリルパイプ中央部分の空洞内を上から下へと流す。その泥水は、ドリルビット(ドリルの先端にくっつける、掘り進めるために存在するごつごつした鬼瓦をイメージさせるモノ)から、掘っている穴の中へと吹き出す。

 この吹き出した泥水は、掘削で生じたくずと一緒に、ライザーパイプ(海底下ではケーシングパイプ)とドリルパイプの間の空間を通って、船上へと戻ってくる。
 泥水は、船上で最適な状態に処理された後に再び、ドリルパイプの中へと送り出される。
 つまり、泥水は船上と海底の奥とを循環する血液のような働きをする。
 この泥水が、掘る穴を押しつぶそうとする地層の圧力に対抗してくれるおかげで、海底下深くまで安定した掘削ができるわけだ。

 その仕組みを映像で見たいという方はこちら(外部サイトYoutubeに移動します)。