第5回 日本の宇宙エレベーターが世界デビュー!

 とぼくが断言するのは無理な話だが、理論上十分可能で、実現すれば画期的に便利なものなのである。実現しない理由を見つける方が難しいのではないかと、お話をきいていてむしろ感じてしまった。石川さんが「ポシャるかもしれない」と述べるのは、例えば2050年までなどと区切った近未来の実現であり、遠い未来まで見渡せば、むしろ実現しない方が不思議だろう。それが、自分の生きている間かは分からないし、また、志を持つ若いエンジニアが、一線にいられる間であるかどうかも分からない。だから工学者が人生をかける「人生設計としてのリスク」はもちろん大アリなのだ。

 ちょっと関連することとして、最後にクライマー開発の現状に触れよう。

 インタビューの中では、宇宙エレベーターの「列車」となるクライマーの仕組みについて触れなかった。石川さんたちの構想でも、深い考察は為されていない。これは乗り物であって、建設会社の領分とはかけ離れているのかもしれない。

 その一方で、今、宇宙エレベーターを見越したクライマーの開発をしている人たちが、現に日本にいるのである。

「2008年ぐらいから一般社団法人宇宙エレベーター協会というものができました。そこで、クライマーの競技会を毎年やっているんですよ。気球から垂らしたケーブル──もちろん、カーボンナノチューブではありません──を1000メートルほど昇って降りてくる、というものなんですが、そういう競技会で出てきた技術が将来のクライマーに活かされる可能性はあるわけです」

 今年度の大会の優勝者がクライマーに取り付けたカメラで昇降の様子を公開しているので見ていただきたい。

クライマー搭載カメラ(下向き)より。(動画提供:チーム奥澤)
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地上カメラより(下降終端部)。動画の解説はこちら。(動画提供:チーム奥澤)サイトURL:http://teamokuzawa.blog57.fc2.com/