石川さんは、入社後最初の数年間は、「月やら火星やらに家を建てる」系統の研究をしていたそうだ。大林組の広報誌「季刊大林」でも発表された火星や月の居住計画、ラグランジュ点のスペースコロニーなどの構想は、石川さんのような人材がいて、実現したのだと知った。

 しかし、そういった時期は長くは続かない。バブルの崩壊後、月や火星の話題は一気に遠のいた。石川さんも、異動を余儀なくされる。今度は、宇宙工学というよりも、生物や化学の知識を要求される研究だ。

「しばらく宇宙とは離れて、地上での汚染土壌の浄化や、あるいは大気環境を改善するとか、そういう研究を10年以上してきました。私としては、将来、火星をテラフォーミングしたい。生物を使って火星の大気を変えるとか、あるいは有機化するといったテーマがありますから。そうすると汚染土壌のバイオ処理みたいなものと手法は似ていて、そういうところで将来つなげられないかなっていう思いはあるんですけどね」

 火星のテラフォーミングというのは、なんと壮大な……。要は、火星に人間が居住できるように、環境そのものを変えてしまおうという発想で、SF作品などではよく扱われている。キム・スタンリー・ロビンスンの『レッド・マーズ』『グリーン・マーズ』のシリーズは特にお奨めできる。宇宙エレベーターも当たり前のように出てくる。なお今、大人気のマンガ『テラフォーマーズ』も、火星テラフォーミングの話と言えなくもないが、フォーカスが違う(面白いが)。

(写真クリックで拡大)

この連載の前回の
記事を見る

この連載の次の
記事を見る