静止軌道ステーション。(画像提供:大林組)(画像クリックで拡大)

 こちらは地上(海上も含む)での構造物の専門家である建設会社としては、やや畑が違う部分だ。地上3万6000キロメートルの高度に、いわば宇宙ステーションを作るわけで、これまではアメリカのNASAなど、国家規模の機関のみが主導し、実現してきたものである。

 それをどのように作るのか。石川さんたちが提案する静止軌道ステーションは、この構想の中で一番想像力に富んだ部分だ。最も自由度が高く、プロジェクトメンバーである意匠、設計、施工の専門家たちが、楽しく「遊んだ」形跡が見える気がする。

「基本的にあんまり宇宙エレベーターには大きな施設はつくりたくないんですよね。バランスが崩れちゃうので。で、大きな施設を唯一つくれる場所が静止軌道なんです。ちょうど無重力状態になる場所なので。ケーブルを約10万キロメートルの長さにすると、大体3分の1ぐらいのところ、3万6000キロメートルのところですね。そこに大きな施設を作って1つの中間のターミナルみたいな位置づけにします。そこから、上に行ったり下に行ったりするわけです」

 宇宙エレベーターには余分なものはぶら下げたくない。しかし、静止軌道なら、重力も遠心力と地球の引力がつりあってゼロとなる。ゆえに建設上の制約が少ない。クライマーで運べる範囲のもので組み立てられるなら、様々なパターンを考えられそうだ。

 プロジェクトチームが提案しているのは、輸送時には三角柱の形に小さくまとめられ、軌道上では余圧することで六角柱になるユニットを66個組み合わせてできるものだ。その中に居住区や実験のための区画などがあり、全体としてみると3重螺旋という不思議な構造になっている。

静止軌道ステーション全体レイアウト。六角柱のユニットを組み合わせた構造になっている。(画像提供:大林組)(画像クリックで拡大)

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