第2回 宇宙エレベーターの「支柱」は1.38mm!

「やはり、地球からスルスルと伸ばすのは無理で、静止軌道から降ろしてくるのが一番有利なんですね。だから、基本的には高度3万6000キロメートルの静止軌道まで運んで、そこから降ろしてくる。降ろしながら静止軌道の外側にもケーブルを伸ばしていく。静止軌道を重心にしてバランスをとりながら、地球側に降りてきたものを捕獲すると。それが基本形なんですね。実はこれはエドワーズ博士という宇宙エレベーターの第一人者の発想です。私たちはその施工過程に私たちなりの数値的な裏付けを加えて詳細に設計したんです」

 地上から塔を作るのとはまったく違う。

 静止軌道は、ご存じの通り、地球上からみて、人工衛星などが静止して見える軌道だ。つまり、地球の自転の角速度と、静止軌道上にあるものの角速度が一致する。ほかの高さだと、地上からみて静止してくれないので、ケーブルを降ろすにもこまったことになる。

 ただし、静止軌道は3万6000キロメートルと、とても遠い。そこに7000トンものケーブルを打ち上げるのはどうだろう。400キロの低軌道で何10回もスペースシャトルを往復させて作った国際宇宙ステーションですら390トン程度なのだ。

「やはり、静止軌道にいきなり7000トンなんて打ち上げられないですよね。だから、最初に今のロケットで打ち上げられる最大の重さ大体20トンくらいの細いケーブルを建設用の宇宙船とともに静止軌道に運びましょうと」

 つまり、20トンで10万キロメートルもあるケーブルだ。非常に薄く軽い。石川さんが想定しているこのケーブルは、幅は最大部で4.8センチあるものの、なんと4ミクロンという驚異の薄さである。それをガイドケールブル的に地球に下ろす。地上から見れば、垂れてくるのはまさに「蜘蛛の糸」だ(切れたらこまるが)。

 4ミクロンの薄いものをいかに捕らえるかというのは、想像できないのだが、地上に降りてくる際には大気圏で「暴れる」ため、先端にはスラスター(姿勢制御装置)のようなものが必要なのでどのみちそれは見えるし、またビーコンを発することもできる。今の想定では海上にアース・ポートを作ることになっているから、おそらくこの捕捉も海上で、ということになるそうだ。

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