砂漠は、太古の昔から未開のまま残されてきた貴重な自然です。荒涼とした大地ですが、そこにも人の暮らしがあります。水は少なく、生活に必要な資源に乏しく、作物の栽培にも適さない。しかし、砂漠で暮らす人々は、限られた資源を上手に使い、さまざまな工夫を凝らして生活しています。それも私には魅力的でした。

 砂漠は地域によって、それぞれ固有の地質学的な特徴を備えています。その風景と、そこに住む人々の暮らしを追うことが、サハラ砂漠でのフライト以後、私の最大の関心事になりました。

――15年間というと、砂漠飛行も相当な回数になるのでしょうね。

 それほど多くはないですよ。砂漠飛行は全部で30回に満たない。
 それというのも、砂漠の飛行は季節や時間の制約が大きいんです。モーターパラグライダーでの飛行に適しているのは、気温の低い秋から冬の季節に限られますし、風がなく、空気が安定している早朝2時間しか飛べません。

 つまり、砂漠を飛行できるチャンスはほぼ年に1度。10カ国の砂漠を訪ねようと思えば、10年かかってしまうのです。

 しかし、それだけ時間をかけて世界各地の砂漠を見てこられたことは、私にとって幸運でしたし、大きな成果だと思っています。

――では、スタインメッツさんが何をきっかけに写真家を志したのか。それを次にうかがうことにしましょう。

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(つづく)

ジョージ・スタインメッツ(George Steinmetz)

1957年、米国カリフォルニア州生まれ。スタンフォード大学で地球物理学の学位を取得。モーター付きのパラグライダーを使い、世界各地を空から撮影している。数多くのナショナル ジオグラフィックの特集を担当。2013年では9月号に「加速する海面上昇」、2月号に「歴史を取り戻すリビア」が掲載された。写真家ジョージ・スタインメッツを紹介するページはこちら


高橋盛男(たかはし もりお)

1957年、新潟県生まれ。フリーランスライター。自動車専門誌の編集を手がけたのちフリーライターに。JR東日本新幹線車内誌「トランヴェール」、プレジデント社「プレジデント」「プレジデントファミリー」などに執筆。

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