第64話 血に飢えた美女?が発した野獣の雄叫び

 ところが、1歩2歩近づいて、頭を撫でてあげようと手を伸ばしたとたんに、どん! と体当たりを浴びて突き飛ばされた。

 大喜びするあまりに、甘えの表現に手加減がない。

 2匹目のところに行っても、また体当たりを浴びた。

 トーニャのドッグヤードでも、同じように喜びアタックをする犬たちがいて、大抵は大手を構えて受け止めることができるのだけれど、ここの犬たちのそれは、まったくもって凄すぎる。

 もともと、ミッキー&ジュリーさんの橇犬というのは、速く走るためのものではなく、重い荷物を運ぶための作業犬であるから、トラックなどの作業車両と同じように、力がハンパない。

 前足など極太で、肉団子のような大きな肉球もついている。

 まさに、相撲のぶつかり稽古のようなもので、ぐっと足を踏みしめて堪えてみても、私はすぐさまがぶり寄られて尻もちを突いた。

 格闘する私の横で、トーニャはというと、マラミュートの子犬を抱きしめて幸せそうに体じゅうを撫でている。

 子犬といっても、人間で例えるならば中学生ぐらいで、まだ体ができていないが、すでに体つきがごっつい。

「この子、うちに欲しいわ~」

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