前回まで:連載の合間を縫って現地レポートをお届けする「NWJ(ノースウッズ・ジャーナル)」。この秋は、世界最大の鹿であるムースを撮影しようと、カナダ・マニトバ州の森の撮影ポイントに通っていたものの、なかなか条件が整いませんでした……。

 それでもいつかはムースに出会えることを期待して、毎日、マウンテンバイクを漕いでトレイルへ出かけました。

 後ろには、本来は赤ちゃんを乗せるためのカートを引いています。

 その上に、カメラや三脚、メガホン、ブラインド、雨具、防寒具、お弁当、水などを積んでいるので、全部で30キロぐらいになるでしょうか。

冬眠を前に食欲おう盛なアメリカクロクマ。全身が茶色い個体は、その色からシナモン・ベアとも呼ばれる。(写真クリックで拡大)

 トレイルは幅広く整備され、ほとんど平坦なので、なんとか進めますが、登り坂が出てくると、手で押して歩きました。

 そうして湿地などの開けた場所までやって来ると、ブラインドとなる目立たない迷彩色のテントを、茂みの中に立てます。

 その中に忍び込み、カメラの準備を整え、夜明けの光とともに、鳴きまねの第一声を森に響かせるのです。

 15分間隔で鳴いては、何かが近づいてこないかじっと耳をすましてみます。

 慎重にゆっくりと近づいてくるオスもいるので、1カ所で少なくとも1時間半は待ちつづけます。

 午前中はそれをずっとくり返して、光が強すぎる昼間は、トレイルの途中でお弁当を食べながら休憩をして、また夕方になると、同じことをくり返します。

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