海底に眠る豊かな資源に世界が注目。海をめぐる各国の動きが活発化している。米国では海洋学者のロバート・バラードらが、10年計画の調査に乗り出す。

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海のフロンティア

海底に眠る豊かな資源に世界が注目。海をめぐる各国の動きが活発化している。米国では海洋学者のロバート・バラードらが、10年計画の調査に乗り出す。

文=ロバート・D・バラード

 海の底には豊かな天然資源が眠り、その多くは未開発だ。膨大な量の原油や天然ガスが埋蔵され、熱水噴出孔には何億年もの時を経て、銅、鉛、銀、亜鉛、金といった金属資源が蓄積されている。さらには食料となる水産資源や、失われた歴史を伝える沈没船、保護すべき海洋生物の生息域などもある。

 そして今、世界の海とそこに眠る資源をめぐって、各国の動きが活発化しつつある。
 海の国境についての対立、海中の資源への期待などを背景に、世界の海は現在、探査ラッシュの状態にあるのだ。

 沿岸200海里(約370キロ)以内の海は「排他的経済水域(EEZ)」とされ、各国は天然資源を探査、開発、保全、管理する権利を認められている。さらに現在、各国はこぞって、国連海洋法条約に基づいた自国の海域の拡大を意欲的に進めている。

 米国の場合は、1983年3月10日、当時のロナルド・レーガン大統領がEEZの設定を宣言。これによって“米国の海”は一気に広がり、国の主権の及ぶ面積はほぼ倍増した。しかし、これまでのところ、米国のEEZの大半はまだ調査されていない。

 その米国も今年の6月、10年計画の長期調査に乗り出した。海洋大気庁の調査船オケアノス・エクスプローラー号とわれわれ(筆者の海洋学者ロバート・バラードら)のNPO「海洋探査基金」の調査船ノーチラス号が力を合わせ、これまでにニューイングランド海山列などを含むロードアイランド州沖合、メキシコ湾、カリブ海などの海域で、調査と三次元の地図作成を進めてきた。

 調査船が赴く海の多くは、米国本土から遠く離れたところにある。だが私たちは調査の間も、陸上にいる海洋学者や専門家たちと常に連絡を取り合っている。何か発見したときには、科学者たちがあたかも船上にいるかのように機器を操作したり、リアルタイムで成果を分かち合ったりすることもできる。
 これから始まる航海は、誰もが参加できる探求の旅なのだ。

※ナショナル ジオグラフィック11月号から一部抜粋したものです。


Map by Juan José Valdés and Rosemary Wardley, NG Staff; Ryan Morris, NGM Staff; Theodore A. Sickley. Sources: U.S. Department of State; NOAA; Center for Coastal and Ocean Mapping/Joint Hydrographic Center

編集者から

 海は天然資源の宝庫。その豊かな恵みに、世界各国の熱い視線が注がれています。
 探査や研究が進んでいない領域がまだまだ多い海洋こそは、地球にわずかに残された、かけがえのない「フロンティア」。地上で繰り返されてきた領土や資源の争奪戦、乱開発による環境の荒廃といった、人類お得意の“愚行”の数々が、海にまでは及ばないことを願っています。(編集H.I)

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