今回ご紹介するのは、服装が世界で画一化しはじめた時代を象徴する一枚です。

(c) EMIL P. ALBRECHT/ National Geographic Creative(写真クリックで拡大)

 場所はオランダ南西部の町グス。農業を中心とした地方の町です。「ナショナル ジオグラフィック」1915年1月号のオランダ特集に掲載されました。

 写真を見ると、左に当時のモダンな格好をした女性のグループがいます。ロンドンでもパリでも見られる格好です。対して右側の女性たちは、大きなレースの帽子が特徴的な民族衣装を着ています。この時代を機に、それまでの気候風土や習慣にもとづいた服装から、地域差の少ない、同じようなスタイルが世界に普及しはじめます。

 『100年前の写真で見る 世界の民族衣装』には、いくつかオランダの写真が掲載されており、場所によって女性の被り物の形が違うことがよくわかります。ここグスではなんといっても、左右に大きく張りだした、鳥が両翼を広げたかのような形が特徴です。

 こめかみのあたりに見えるのは、鏡のようにぴかぴかと光る金のプレートで、これを大きな金のピンで留めています。ちなみに、この帽子の形によって、カトリックかプロテスタントかが分かるのだそうです。

 民族衣装を紹介する連載は今回が最終回です。全10回の連載におつきあいいただき、有難うございました。




 この連載の写真は、下の写真集に収録されています。

『100年前の写真で見る 世界の民族衣装』(ナショナル ジオグラフィック編、日経ナショナル ジオグラフィック社)

ナショナル ジオグラフィックの貴重なアーカイブから、およそ100年前の世界の人々の服装を紹介。Tシャツとジーンズに駆逐される以前の、リアルな日常服としての民族衣装を212点収録。

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