外はマイナス40℃以下だというのに、私は「あぢぃ~」という言葉をもらすのが口癖になっていた。

 体は蒸気機関車のようにかっかと燃焼していて、防寒服の胸元を開けた瞬間など、むんむんめらめらと湯気が立ち昇る。

 一息ついて、その内部にキーンキンに冷えたジュースを流し込むと、五臓六腑すべてに染み渡るとはよく言ったもので、私はその快感がたまらなかった。

「しかしながら、まったくこの世界は、極寒なのか、酷暑なのか……」

 毎回ぶ厚い防寒服を着て、気合を入れて凍てつく世界に出て行くのだけれど、しばらくすると、蒸しあがった茹でダコ状態になっている。

 もともと私は寒い所が性に合っているので、アラスカの冬の寒さには、なんの不満もない。

 ただ、未だその極端な寒さと、極端な防寒服の蒸し暑さに、ちょうど良い折り合いをつけられずにいたのだ。

 そんな私に、トーニャは少々真剣な顔つきで言った。

「ダメダメ」

「何がダメなの? 外で一生懸命働いてきたのに……」

「だから、その一生懸命さがダメなのよ」

 なぜだかトーニャは、私の真面目な働き振りを全否定。

 手を抜いたり、サボったりすることを注意されるのならまだしも……、これはちょいと納得がいかない。

 私は思い切り怪訝な表情をトーニャに投げかけた。

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