今月(2013年10月)号やこのサイトをご覧になっている方はもうご存じのとおり、今年は『ナショナル ジオグラフィック』創刊125周年。つまり、1888年の船出です。

 で、ちょうど100年たった1988年には、発行部数は1000万部を超えていました。米国でトップではなかったものの、見事な数字です。

『ナショナル ジオグラフィック』がはじめて大台に乗ったのは1980年でした。編集長がギルバート・メルビル・グロブナーからウィルバー・ギャレットに交替した年です。その後はほぼ横這いで推移し、順風満帆に見えていたそのちょうど10年目、突如として協会に嵐が吹き荒れます。

 発端はウィルバー・ギャレットの突然の解任劇でした。

 解任したのは当時の会長であるグロブナーです。1990年4月16日、事前になんの予告もなく、グロブナーは自分のオフィスでギャレットを呼んで解雇を通告します。ギャレットはそれを受け入れて、グロブナーのオフィスに入った30分後にはもう協会の職員ですらなくなっていました。

 ビジネスに関してはいくらドライな米国とはいえ、この突然の幕引きに多くの人が驚いたようです。『ワシントンポスト』をはじめ、解任劇を多くのメディアが書き立てました。運営方針の対立、出版理念の違い、財政面や経費削減をめぐる長期的な抗争の結果、歴史ある雑誌を若者向きに変えようとひたすら努力した編集長との衝突、そして、性格の不一致など、さまざまな要因が挙がりました。

 コトの真相はともかくとして、これが協会にとって大きな転換点になったことは間違いありません。

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