第5章 1956- 第二期黄金時代からさらなる挑戦へ

最終回 初の外国語版『ナショナル ジオグラフィック日本版』創刊!

 ギャレットの解雇と同時に、幹部クラスの退職者が相次ぎ、それまでにあまり例のなかった部外者の採用という形でグロブナーは組織の再構築と世代交代を進めます。

 そのひとりにマーケティングや販売促進を担当したミッシェラ・イングリッシュがいました。イングリッシュは精鋭が集結するマッキンゼー・アンド・カンパニー出身の経営コンサルタントで、協会に加わるや『ナショナル ジオグラフィック』の国際化に乗り出します。というのも、当時の読者の92%が英語圏の国民で、全体の8割が米国人でしたからね。

 そこで彼女が白羽の矢を立てたのが日本でした。

 なぜ日本なのか? 

 おそらく日本に勢いがあったことはあるでしょう。まだバブルがはじける前でしたし、もうひとつはアルファベットを使わない異文化圏という要素もあったようです。

 また、日本版を出す前から協会はスペイン語版も成功させたいとよく言っていました。言語を使う人口としては、日本よりも断然多いですし、米国内にもスペイン語を母国語とする人は少なくありませんからね。

 つまり、まずは文化的な差の大きい日本版をパイロット的に作りつつ、その後の世界展開を見据えて着々と準備をしていた印象でした。

日本版創刊号は1995年4月号でした。(写真クリックで拡大)

 いくつかの日本の出版社と交渉をした結果、協会は日経BPと合弁会社「日経ナショナルジオグラフィック(弊社です)」をつくることに合意し、1995年4月『ナショナル ジオグラフィック日本版』が晴れて創刊されます。

 以後、1997年10月にスペイン版、同年11月にメキシコ版、翌年にはイタリア、イスラエル版、ギリシャ版と続き、125周年の2013年10月現在は39の言語による『ナショナル ジオグラフィック』の外国語版が世界で発行されるに至りました。はじめての外国語版である日本版はそのさきがけだったわけです。

 さて、約2年半と当初の予想よりはるかに長くなってしまったこの連載。形を変えて復活する可能性もゼロではありませんが、ひとまずこれで最終回といたします。日本版が創刊されて以降の特集はぜひ本誌のバックナンバーでご覧ください。バックナンバーはこちらからどうぞ。創刊号からたどれますよ。

 長い間ご愛読ありがとうございました。

(Web編集部S)