第10回 パラグアイの子供が最初に覚える料理とは

グラディスさんはパラグアイ東部のシウダー・デル・エステ出身。幼少時に家族でパラグアイに移住した日本人のご主人と19歳で結婚し、23年前にご主人と一緒に日本へやってきた

 「朝食によくつくりますよ。パンのようなものだけど小麦粉ではなくマンジョカのでんぷんにチーズや塩を混ぜて焼くんです」とグラディスさん。マンジョカは数千年前から中南米で食べられているイモ類。一般的にはキャッサバといわれ、でんぷんでつくるものとしてはタピオカが有名だ。「パラグアイは肉料理が中心で、ふかしたマンジョカを肉と一緒に食べます。日本でいうごはんのようなものかな」という。

 「パラグアイでは料理は出来たてを食べるんです。つくりおきしないし、残ったものを次の食事で食べることもしない。温かい料理の方が美味しいでしょ」と、グラディスさんはオーブンから取り出した焼きたてのチパをすすめてくれた。

 香ばしいにおいが食欲をそそる。焼きたてのチパは、旅博で食べたものより表面がパリッとしていて中はふんわり。噛むともちもちしているのは、タピオカと同じ原料だからなのか。「これは何個でもいけちゃいますね」と二つ目を手に取りながら言うと、貴雄さんが教えてくれる。

 「チパは買って食べたりもします。以前、パラグアイでサッカー観戦をしたんですけど、チパを売り歩く人から買って、食べながら応援するんです。街にも石を投げれば当たるくらいチパの露店がたくさんあるんですよ。素朴なようだけど家ごと、店ごとに味が違う。でも、かあちゃんのチパが一番うまい!」

 三つ目のチパを手に話を聞いていると、「さあ、ソパも焼けたから食べてみて」とグラディスさんの声。「ソパ? チパの兄弟分?」と思いつつ厨房に目をやると、彼女は30cm四方のパンケーキのようなものを切り分けていた。

 「ソパもパラグアイでは欠かせない食べ物なの。週末は必ず家族や友人たちとアサード(バーベキュー)をやるんですが、そのときに大きなソパを焼いてみんなで取り分けて食べるんですよ」

マンジョカの粉にチーズ、卵、バター、牛乳、塩を混ぜて焼くチパ。味はもちろん、ドーナツ型などかたちや大きさもお店や家庭によって異なるという