第10回 パラグアイの子供が最初に覚える料理とは

 「あ、ども。こんちは」

 なんとも流ちょうな日本語ではないか……。
 驚いた表情を察したのか、青年は話を続ける。

 「自分、母親がパラグアイ人で父親が日本人のハーフなんすよ。名前は内山貴雄(たかのり)、21歳です。日本生まれの日本育ちで、スペイン語は話せないっす」

 軽快なトークに純和風な名前。気のいいあんちゃんといった風情のイマドキの若者だ。店頭に並ぶチパを指さして、「さっき、ひとついただいたんです」と言うと、「マジっすか!」と声のトーンが上がる。「チパはパラグアイでは欠かせない食べ物で、店でも人気なんです。今日もパラグアイの人や大使館スタッフがたくさん買いにきてくれましたよ」

 パラグアイの人々に愛されるチパ。どんな料理なのか、ますます知りたくなった。そこでソウルフードについて尋ね歩いていると言うと、貴雄さんは満面の笑みで教えてくれた。「詳しく聞きたいならかあちゃんがいいと思うけど、今日はここにはいないんです。今度お店にきてください。かあちゃんの作ったパラグアイ料理は最高ですから!」

 後日、千葉県松戸市に店を構える「ユウキレストラン」を訪れると、貴雄さんと母親の内山グラディスさんが笑顔で迎えてくれた。

 店のオーナー兼シェフを務めるグラディスさんは、在日パラグアイ大使館からも料理を頼まれるほどの腕前で、その味を目当てに静岡など遠方から食べにくるパラグアイ人もいれば、店で在日パラグアイ人のパーティーが開かれることもあるという。さっそく、グラディスさんにチパについて尋ねる。

内山グラディスさん(左)と貴雄さん。二人で店を切り盛りしている