我々は6人のチームだった。コールドベイで冬山登山に近いような重装備を整え、予備も含めて12日間分の食糧を買い揃え、飛行機をチャーターした。ジェット機だが目的のアムチトカまでは3時間ほどかかった。空路は荒れていてかなりきわどい乱気流などに巻き込まれたが、ぼくは船にも飛行機にも酔うということはないので、時おり雲の間から見えるアリューシャン列島の大小入り混じった、しかし上空から見てもそれとわかるすさまじく荒涼とした島々をずっと眺めていた。パイロットはガイさんというカナダ人で、荒天時の操縦がうまいと評判だった。

 やがて目的の島アムチトカが見えてきた。長さ64キロ、幅最大6キロの細長い島だが、たくさんの雲がものすごい勢いで流れていき時々しか島の姿は見えない。空中を何度もバウンドするようにしてガイさんの操縦する双発機はなんだか戦地へ赴くような急角度の降下をし、やがて雲の下に出てから島の全容がほぼ見えてきた。目的の島も見るからに荒れている。

渦巻く黒雲の中を急降下に近い角度で降りていくと雪のついたアムチトカ北東部が見えてきた。(撮影:椎名誠)(写真クリックで拡大)

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