第61話 死という運命を、共にできるか?

 次の日、ようやく念願のトゥリッサに会って、夕方に帰ってきたトーニャに、私は開口一番に尋ねた。

「あのロッジに戻ってきた犬たちは、SOSを知らせるためだったの?」と。

 私は、それが気になって仕方がなかったのである。

 子供の頃に観た映画『南極物語』の中でも、吹雪の中で遭難しかけた観測隊員たちが、犬を放して救援を求めるシーンがあった。

 私はその場面をよく覚えていて、だから今回のことも、2匹の犬たちが戻ってきたときに、すぐに、トーニャの無事を確認しようとしたのだ。

 けれど彼女は、意外にもあっさりと、こう言った。

「あれは、SOSを知らせるためじゃないわ」

 彼女は、どこか恥ずかしそうに笑っていた。

「あの2匹は、繋ぎ直すときに、手が滑って放れてしまったのよ。私のミス。たまたまロッジに近かったから戻ってしまったのね」

 私は、そんな彼女の言葉を聞いて、少しがっかりした。実は、
「あの二匹たちが知らせてくれたお陰で、私たちは遭難せずに済んだわ」
 などというドラマチックな言葉を待っていたのだ。

 しかしながら、2匹の犬たちの行動の真相というのは――、

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