第5回 10年後は世界一の動物園に!

 よこはま動物園ズーラシアを通じて、村田さんが思い描く「動物園学」についてざっくり考えてきたつもりだ。「つもり」というのは、あまりにも広範囲で、考えようにも雲を掴むような部分があるからだ。

 しかし、説明で一番腑に落ちたのは、農業には農学があり、畜産には畜産学がある、ということ。農業大学や農業大学校、畜産大学などが、実際にあるし、専門大学ではなくとも、農学部や畜産学部は多い。また、国や自治体の関連研究機関を含めると、農学・畜産学の層は分厚く、広い。

 動物園に対する動物園学が、それに相当するなら、まず必要なのは、「動物園がどれだけ必要とされているか」という部分だ。

 農業も、畜産も、大事な産業で、そのサポートをするための実学・応用科学としての農学や畜産学は、非常に重要だ。

 では、動物園はどうか。動物園学という応用科学が、強い求心力をもって形成されるだけの動機はあるのだろうか。日々の「食」を支える産業に比べたらその部分が弱いのは当然として、動物園にはどれだけの魅力があるだろう。

「これは、結局、文化の成熟と発展の問題だと思うんです。動物園って、ずっと娯楽的な施設だと思われてきて、行政的には公園の一部でした。今は、指定管理制度で、自治体とは切り離されてその分、営業面、経営面だけを見てる動物園もあるだろうし。でもね、横浜って、動物園が娯楽以上のもの、もっと広くて深いものだと理解していくためにいろいろなものが揃っているし、議員さんも繁殖センターとか見てくれて凄い!と議会で言ってくれます。今の時点でも市民の理解があるんです。この前、アフリカのコンゴ民主共和国で、オカピを保護しているセンターが密猟団にやられて、そこにいたオカピが全部殺される事件があったんですけど、センター再建のための募金を市民によびかけたら200万円も集まったんです」

 オカピはズーラシアの看板動物である。遠い異国のものとはいえ、それだけの絆を市民が感じるというのは心強い。

飼育舎のオカピ。(写真クリックで拡大)

本誌2013年10月号でも動物園にまつわる特集「[保護する/PROTECT]動物園はノアの箱舟」を掲載しています。Webでの紹介記事はこちら。フォトギャラリーはこちらです。ぜひあわせてご覧ください。