第4回 「冷凍動物園」に行ってみた。

 よこはま動物園ズーラシアは、1999年の開園時から、繁殖センターなるものを併設している。非公開施設なので、一般の目には触れず、地味な存在だ。しかし、動物園が独自に、非公開の繁殖施設を持ち、専任のスタッフを13人も付けているケースは日本ではほかに聞かない。世界的にも珍しい。

(写真クリックで拡大)

「繁殖センターって、ズーラシアだけのものというより、横浜にある3つの動物園の繁殖を推進させるための研究をやっていきましょうということで、設置されているんですね。ですので、ズーラシアのほかに、野毛山動物園と金沢動物園と共同で研究を進めている部分と、繁殖センター独自でやっているっていう部分とありますね」

 動物園は「種の保存」の場であるという考え方がある。

 これは20世紀後半にアメリカで勃興した構想で、今でも「動物園はノアの方舟」というような言い方をすることがある。野生の生息地が壊滅的になっても、動物園できちんと繁殖させて、いずれ野生に戻す(野生復帰)ことも可能だろうという壮大なビジョンだ。もっとも、これは額面通りに受け取る訳にもいかず、村田さんに言わせれば「リップサービス」の部分が大きいというのだが。

 動物園には、ノアの方舟のようにすべての動物を「載せる」わけにはいかない。繁殖が難しい動物も多い。本当に種の保全を考えるなら、わざわざ生息地から遠く離れた場所で飼育するコストをかけるよりも、生息地保全の活動をする方が大事……といったふうに考えれば、「動物園はノアの方舟」という考えは、ちょっと大風呂敷すぎるかもしれないのだ。

 かといって種の保全と動物園が関係ないかというと、そんなことはない。動物園は様々な局面で、種の保全というテーマと取り組むことが出来るし、そのことで動物園はより前に進むことができる。村田さんが言う動物園学の中でも、種の保全はひとつの中心的な課題だ。

本誌2013年10月号でも動物園にまつわる特集「[保護する/PROTECT]動物園はノアの箱舟」を掲載しています。Webでの紹介記事はこちら。フォトギャラリーはこちらです。ぜひあわせてご覧ください。