第9回 ナショジオ記者が威厳に打たれた アイヌの長老(1921年)

 連載のこれまでの写真と違って、この格好は皆さんお馴染みだと思います。「ナショナル ジオグラフィック」1921年7月号の特集「各地をめぐるカメラの冒険」に掲載されたアイヌの男性です。撮影地は、現在の北海道白老町。古くからアイヌの人びとが暮らしている町で、現在はアイヌ民族博物館もあります。

(c) MAYNARD OWEN WILLIAMS/ National Geographic Creative(写真クリックで拡大)

 身に着けているのは、独特のアイヌ文様の着物。樹皮や草の繊維でつくられることもあれば、木綿製のものもあったそうです。頭につけた飾りは、ミズキやヤナギなどの木を削ってより合わせたものです。

 1921年の記事では、この男性をキリスト教の聖人になぞらえて「アイヌの聖ニコラウス」と紹介しました。アイヌ民族博物館にうかがったところ、アイヌの長老は実際にそうした役割を担っていたようで、「どの家においても、どの村においても長老(エカシ)が神事をとりしきり、カムイノミ(神への祈り)をおこなうのは当たり前でした。神への祈りはアイヌ男性の大切な役割です。写真の人物も白老コタンの長老のひとりだったと思います」とのことでした。

 アイヌ民族博物館 http://www.ainu-museum.or.jp/

 次回は、オランダの顔より大きなボンネットをご紹介します。




 この連載の写真は、下の写真集に収録されています。

『100年前の写真で見る 世界の民族衣装』(ナショナル ジオグラフィック編、日経ナショナル ジオグラフィック社)

ナショナル ジオグラフィックの貴重なアーカイブから、およそ100年前の世界の人々の服装を紹介。Tシャツとジーンズに駆逐される以前の、リアルな日常服としての民族衣装を212点収録。

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