第60話 激しい恋の告白で、危うく遭難!

「なんだ、なんだ?」
 となるのは、これまた自然なことである。

 マラソンの競技中に、うなぎを焼く匂いが漂ってくるのとは、訳が違うのだ!

 そこは、やはり動物。

 オスは、オスなのである。

 しかも彼ら動物は、純粋に子孫を残そうという本能で生きていて、人間のように、理性で抑えたり、何かで紛らして昇華させたりということがない。

 だから、ここからは私の想像なのだけれど、いきなりムンムンムラムラとさせられてしまったオス犬たちは、ただ本能のままに、

「こりゃ~、橇を引っ張っている場合じゃな~い」
「恋だ~、恋の季節だ~」
「おら、おめーが、前から好きだっただすよ~」
「なにぬかす! おらのほうが、ずっと前から気になってただよ」
「なに! 俺のほうが、もっともっと、もっと前から、目を付けていたんだぞ!」
 横からさらりとやって来て、
「あんな野暮ったい連中より、今夜、私とどうですか?」
「なに! この気取り屋、どけ!」ドン。
「なに、このブサ犬」ドン。
「こら、抜け駆けするな!」ドン。
「なにを! こんにゃろ~」ドン。
「なにー、おめーこそ」ドン。

 と、恋のスイッチが入ってしまったオスたちは、橇を引く大切なミッションも放り出して、激しく熱い告白を投げまくったに違いない。