周りはパリパリとして香ばしいのに、中心部はもちっとした蒸しパンのようで、2つの食感が楽しめるのもおもしろい。食べ続ける私たちの様子を見て「美味しいでしょう」とイーシャさん。「カレーなどをつけて一度に5~6枚、多い人は10枚くらい食べちゃいますね。卵をからませて食べる『エッグ・ホッパー』も人気です」。

 それにしても、どうやってお椀型にするのだろう。そう問うと「専用のお鍋があるんですよ」とサンジさんが教えてくれる。「ホッパーはお米の粉を使うんですが、材料も鍋も日本ではなかなか手に入らないので、つくるのが難しいんです」。ホッパーの本場スリランカではどこの家庭にも鍋があり、朝起きると母親が焼いてくれるのだという。

笑顔が素敵なセイロンインの店長・アジットさん。スリランカの南部、ゴールの出身で27年前に来日。セイロンインは本場の味だとスリランカ人にも評判で、大統領来日時は大使館まで食事を届けたりもするのだそう

 専用鍋を見せてくれたのは、フェスにも出店していた東京・中目黒にあるスリランカレストラン「Ceylon Inn(セイロンイン)」の店長・アジットさんだ。直径約15cmのまさにお椀型。これにクレープのように薄く生地を敷いて焼くのだが、くぼんでいる真ん中に生地が集まるため、周りは薄くパリパリに、真ん中はふんわりと仕上がるのだという。

 「この鍋がないとホッパーの食感が生まれません」とアジットさん。ほかには使い道がなさそうな鍋をどの家庭も持っているというのだから、本当に生活に溶け込んだ食べ物なのだろう。アジットさんは続いて作り方を説明する。

 「まず、お米を砕いて粉状にします。そこにココナッツミルクと塩を混ぜ、ココヤシの花でつくったにごり酒を入れて発酵させる。発酵は5時間、長くても短くてもだめです。ふっくらとしないし、酸味も出ませんから」

5時間の発酵が必要なホッパーは夜に生地をつくっておいて朝焼くことが多い。スリランカでは料理をつくり置きする習慣がなく、余り物を食べることもあまりないという
「ホッパー」は英語名でスリランカでは「アーッパ」と発音する
ホッパーの専用鍋「アーッパ・ターチ」。使い込むほど美味しく焼けるとか

この連載の前回の
記事を見る

この連載の次の
記事を見る