第5章 1956- 第二期黄金時代からさらなる挑戦へ

第26回 ナショジオに登場したもうひとりの日本人冒険家

 一方、ウィル・スティーガーは1944年、米国ミネソタ州生まれ。1986年には無補給での犬ぞりによる北極点到達にも成功しており、史上はじめて北極点を制覇したロバート・ピアリや、南極点に到達したロアルド・アムンセンらと同じように、ナショジオ協会から名誉ある「ジョン・オリバー・ラゴース・メダル」を授与されています。また、はじめてのナショナル ジオグラフィック協会付き探検家になった人物で、米国ではもっとも成功した冒険家の1人といえるでしょう。彼はイリーの郊外にある「開拓村」と呼ぶ拠点でたくさんのそり犬たちと暮らしていました。

 植村直己のファンでもあった舟津さんは、昔から極地に興味があり、スクールのそり犬の世話をしていたことがもとで、南極横断の準備をしていたウィル・スティーガーの開拓村の一員になったのが1987年9月のこと。翌月にはスティーガーから「南極へ行く気はないか?」と声を掛けられたそうなので、よほど資質があったのでしょう。主な役割は42匹の犬たちのケアでした。

 横なぐりの地吹雪にあったり、犬が何度もクレバスに落ちたり、デポの食料がみつからなかったりなど、6040キロ、220日間にわたる冒険は過酷そのものです。冒険の本編は『ナショナル ジオグラフィック』1990年11月号をはじめ、舟津さんの著書『犬ぞり隊、南極大陸横断す』(講談社)でも読むことができます。成功目前で舟津さんが危機一髪に陥ったりもして、とても面白いですよ。

南極式の弁当をむさぼる隊員たち。1990年11月号より。(写真クリックで拡大)