第5章 1956- 第二期黄金時代からさらなる挑戦へ
第26回 ナショジオに登場したもうひとりの日本人冒険家
1990年11月号。表紙の写真はスターリン像を掃くリトアニア人です。舟津さんが参加した探検隊は米国、フランス、ロシア、中国、英国、そして日本からの6名からなり、冷戦終了とは無縁ではありませんでした。念のため。(写真クリックで拡大)
『ナショナル ジオグラフィック』に登場した日本人冒険家といえば、表紙にもなった植村直己がメジャーですが、ほかにも日本人がいたのをご存じでしょうか。探検隊のリーダーではなかったので、大きくは扱われなかったものの、史上初の偉業を成し遂げています。今回はその日本人極地冒険家である舟津圭三さんを紹介いたしましょう(まだご存命ですし、中の人は面識もあるので「さん」づけで書かせていただきます)。
舟津さんが参加した冒険は1989年から1990年のウィル・スティーガーをリーダーとする犬ぞりによる南極大陸横断でした。
舟津圭三さんは1956年、大阪生まれ。若い頃から冒険に憧れを抱き、1979年には北米大陸をひとり自転車で横断。大学卒業後は商社に勤めますが、大自然にチャレンジする冒険的なアメリカ人のアウトドアスタイルに接して、日本の若者のためにも同じような体験ができる場所を作れないかと思い始め、かつて植村直己が講師を務めたアウトワード・バウンド・スクール(OBS)に押しかけます。
舟津さんはコロラドの本部で門前払いにあってもあきらめず、ミネソタ州のイリーの支部へ。そこでは植村直己と同じ日本人ということで当時の校長から厚遇を受け、働きながらスクールに通えることになりました。1985年のことでした。
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