第7回 女子プロレスの衣装になったボリビアの伝統衣装(1909年)

 写真家の求めに応じてポーズをとる南米ボリビアの首都ラパスの女性。この写真は「ナショナル ジオグラフィック」1909年2月の特集「雲上の万華鏡都市ラパス」に掲載されました。

(c) HARRIET CHALMERS ADAMS/ National Geographic Creative(写真クリックで拡大)

 何枚もの下着を重ねてはいてふくらませたスカートに、何色かで織られたショールをまとい、頭には山高帽をかぶっています。これは現在のボリビアでも見られる伝統的な服装です。

 南米のアンデス地域では16世紀にインカ帝国が滅ぼされた後、スペイン人の入植が進むにつれ、ヨーロッパの影響を受けた服装が広がっていきました。山高帽は1850年にイギリスでつくられた男性向けの帽子ですが、アンデス地域にもたらされたときに、女性のファッションに取り入れられました。

2008年9月号「戦え、チョリータ!」(画像クリックで特集ページへ)

 上の写真が掲載された約100年後、2008年9月号の「ナショナル ジオグラフィック」に特集「戦え、チョリータ!」が掲載されました。

 チョリータとは、ボリビアをはじめ、アンデス高地に住む先住民の血をひく女性や、民族衣装を着た女性をさす言葉です。特集では伝統の格好をしてリングで闘う女性を紹介しました。先住民の誇りをかけ、女子プロレスで貧困や差別に立ち向かう女性たちの特集です。伝統的な服装は、現代のボリビアでは民族のアイデンティティを示す重要なアイテムになっているのです。

 次回は、パレスチナの風変わりでかわいい帽子をご紹介します。




 この連載の写真は、下の写真集に収録されています。

『100年前の写真で見る 世界の民族衣装』(ナショナル ジオグラフィック編、日経ナショナル ジオグラフィック社)

ナショナル ジオグラフィックの貴重なアーカイブから、およそ100年前の世界の人々の服装を紹介。Tシャツとジーンズに駆逐される以前の、リアルな日常服としての民族衣装を212点収録。

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