第3回 アートは政権に対抗する手段

――モブツ政権を崩壊させた1997年の第一次コンゴ戦争の後、翌年から2003年にかけて第二次コンゴ戦争が続き、この間に伝染病や飢えによるものも含めると、死者の数は数百万人といわれています。

 紛争がなかなか終わらず、政治の状態も安定していないので、国民が自由に自分の意見を口に出せるような状態にありません。

 言葉にして政府を批判すれば、警察につかまってしまうかもしれない。ですから、アーティストたちは、コンゴの現状や自分の考えを絵に描いたり、音楽にして世界へ発信しようとしている。

 つまり、アートは、政権に対抗する手段であり、今のコンゴの状況を国外に訴える手段でもあるのです。そこにコンゴのアートの力強さ、魅力があるのだと思う。

――コンゴのこれからについて、ムルアカさんがどう考えているのか、最後にそれをうかがいましょう。

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(つづく)

ジョン・ムウェテ・ムルアカ

1961年生まれ。コンゴ民主共和国(旧ザイール共和国)出身。1981年国立イナザ・イスタ大学電子通信工学科卒業後、ザイール国営放送に就職。1985年来日。学者を目指し東京電機大電子工学科を卒業後、工学博士号を取得。神奈川工科大学特任教授。千葉科学大学教授。総務省、文部科学省の参与を務める。趣味は料理・農作業・武道。ムルアカ公式ホームページ。


高橋盛男(たかはし もりお)

1957年、新潟県生まれ。フリーランスライター。自動車専門誌の編集を手がけたのちフリーライターに。JR東日本新幹線車内誌「トランヴェール」、プレジデント社「プレジデント」「プレジデントファミリー」などに執筆。