第3回 アートは政権に対抗する手段

 物を盗るのが平気な部族は、他からすれば悪いことではあるけれど、それはそれで特有の文化なんです。

 結婚したら男は家族を食べさせなければいけない。でも、仕事がなかったらどうするか。他人の物を盗んでも、家族を養うことのほうが大事というのが、その部族の考え方。だから、この部族の人は足が速い。小さいころから、逃げるときのためのトレーニングをしているから(笑)。 

 ほかにも、東部のジャングルに住むピグミーは、猟をするときは必要最小限の獲物しかとらない。ケニアのマサイのように勇敢な部族もあれば、とても臆病な部族もあります。

 今は、部族間の結婚が進んで、そういう部族ごとのキャラクターは薄れつつありますけれど。

――首都のキンシャサには、そういう多様な生活文化を持つ人々が、各地から集まって来ているわけですね。

 そういう意味では、アーティストたちにとって、キンシャサは刺激的な街、創造力をかき立てられる街だと思います。

 ただ、一方ではアートでしか自分の考えを表現できない実情もあります。長く続いたモブツの独裁政権が倒れたあとも、コンゴでは紛争が続きました。

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