第3回 アートは政権に対抗する手段
そうです。その白い化粧はお守りのようなものです。怪我をしないとか、病気にならないとか。儀式での踊りにも、いろいろな精霊を表したものがあります。
また、赤い色の化粧もあるのですが、これにはこわい神の許しを得たという意味があります。たとえば、火の神の許しを得ているから、儀式で火をかけられてもやけどをしないとか。赤には災いを成す神の意味がある。
――すると、そういう伝統的な意味を持つ色の使い方が、コンゴのアートには反映されているのでしょうか。
全部がそうとはいえませんが、そういう面はあると思います。
――先ほど、コンゴには250もの部族がいるといわれましたが、部族それぞれに異なった個性があるのでしょうか。
それはあります。アートの話から少し外れますが、たとえばある部族はとても誠実で、嘘をついたり、人をだましたりしない。ところが別のある部族は、嘘をつくのも、他人の物を盗るのも平気。そんな両極端な部族がありますよ。