第1回 チョンマゲの国、日本へ

――なぜ、空手を習おうと思ったのですか。

 日本のいじめのようなことが、コンゴの小学校にもありました。一人の子を大勢でいじめるグループが大嫌いだったので、彼らと戦うために習い始めたのです。
 
 初めはボクシングを習ったんです。義理の兄がボクシングをやっていたので。でも、いじめグループと戦って、ボクシングではかなわなかった。空手は手だけではなく、足も頭も使うから、そっちのほうがいいだろうと思って、空手に変えたのです。

――話を戻しますが、ムルアカさんの著書によると、従姉妹の夫が大使として日本に赴任したので、その方を頼って来たとあります。来日の目的は日本の大学で学ぶことですね。

 はい。日本で勉強して、それをコンゴとアフリカのために役立てたいと思っていました。それは今も変わりません。

 最初の一年半ほどは日本語学校で言葉を勉強して、それから東京電気大学に入って電子工学の勉強をしました。工学博士号を取ったのは1999年です。それから東京医科歯科大学で生体工学や医療工学の研究もしました。

――大変な努力家ですね。では、故国コンゴの話を聞いていくことにしましょう。

噂通りの背の高さ!209cmだそうです!(写真クリックで拡大)

(つづく)

ジョン・ムウェテ・ムルアカ

1961年生まれ。コンゴ民主共和国(旧ザイール共和国)出身。1981年国立イナザ・イスタ大学電子通信工学科卒業後、ザイール国営放送に就職。1985年来日。学者を目指し東京電機大電子工学科を卒業後、工学博士号を取得。神奈川工科大学特任教授。千葉科学大学教授。総務省、文部科学省の参与を務める。趣味は料理・農作業・武道。ムルアカ公式ホームページ。


高橋盛男(たかはし もりお)

1957年、新潟県生まれ。フリーランスライター。自動車専門誌の編集を手がけたのちフリーライターに。JR東日本新幹線車内誌「トランヴェール」、プレジデント社「プレジデント」「プレジデントファミリー」などに執筆。